「宙ぶらりん」の楽しみ
「現代では、なにかを望めば、たいていのものは手にはいります」─藤原伊織『ダナエ』(乱歩賞作家 青の謎(講談社:2004年)所収)より─
「なるほど。そういう時代だった」
「ただし、物品にかぎります」
ちかごろはたいていの情報も手にはいります:キーボードの前から動く必要もなしに。
それは間違いなく「進化」ではあるのですが。
たとえばくらしの中でふと浮かんだような「素朴な疑問」のたぐいというのは、あえて未解決の「宙ぶらりん」の状態で置いておくのもまた楽しみであるような。
仕掛けのわからないマジックのようなもので、からくりを知った途端に興醒めしてしまうことって、ないですか?
本屋に行けば『誰かに話したくなる』なんて銘打った"雑学"を集めた文庫本がいくつも平積みされていたりしますが、謎は謎で無くなった途端に忘れてしまうような気がするんですね、いわゆるトリビアであればなおさら(^^;。
いまの時代、「あえて調べない」というのもひとつの贅沢と言えるのかもしれません。
……ついこの前、他人の素朴な疑問に速攻でぐぐって差し上げまして。
我ながら無粋なことをしたかなと、そんなことを思ったのでした。
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