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2011.08.01

夢想への反論

「ネットから(リアルの)政治に打って出よう!」などという夢想は20世紀のうちに卒業しておいてほしかったですが。
せめて黎明期から種をまいておけば多少は違ったかもしれませんけれども……

すべてが娯楽になった世界に在りて君は何を想うのか(2006.09)

ブログやTwitterを「選挙運動」に使うことには、明確に反対します。(2010.04)

"こうなってしまった"日本(日本語文化圏:以下同じ)のネットでいまから、なんて、
もう遅いし、やめてほしい。

Life is beautiful: 「ネット新党」構想:

・民意の反映
ネットから寄付をした日本国民は誰でも会員になることができ、重要案件に対して票を投じることができる。党内での政策議論は、会員に議事録もしくはustreamの形で公開し、重要案件はすべて会員全員のネット投票によって多数決で決める。

ふーん……
完全にオープンではないだけマシ、とは言えるかもしれませんが……

なにかを、世の中に「風を起こす」だけのなにかをつくりあげようとするなら。
メンバーは、高く、しかも「方向の揃った」志を持つひとびと、である必要があります。

間口を広げればそれだけ、冷やかしも、別の意図を持ったひとも、ネガティブなひともやまほど来ます。

つまり、人が増えれば増えるだけ、全体の熱意は下がります

現実世界へのメリットや有益有能が前提なら、それ専用の場でするのが効率的だと思うよ、という図示。(2007.08)


(全てとは言いませんが)あまたのネットコミュニティにおいて、「自治ルール」の改定を議題に上げた途端、議論百出のうえ修復不能な溝ができてコミュニティ自体が霧散、というケースをわたしたちはいやというほど目にしてきたはずです。
ましてや寄付とはいえカネがかかってるんです(笑)、皆簡単に退くわけがありません。

国を治めるはるか以前、まず「内輪のルール作り」で頓挫する未来が目に見えるようです。


そして何より。
脊髄反射とレイシズムに覆いつくされた日本のネットで「政治」をしようなんてやめてください。お願いですから。

百歩、いや百万歩譲って国内自治はいいとして、外交問題を世論に、ましてや"ネット世論"に委ねるつもりですか?
冗談じゃない、と思います。


まぁ反論ばかりでもアレなのでフォローしておくと、言われるような「半直接民主制」みたいなのは、町村レベルでは活きるかもしれません。
たしか公費でネット回線を整備済み、といった村がいくつかあったように記憶していますし。


とはいえ、基本的には。
「ネットから(リアルの)政治に打って出よう!」などという夢想は20世紀のうちに卒業しておいてほしかったですが、まぁ仕方ありません。
夢見る少年少女の皆様(および、若い心をお持ちの諸兄姉)におかれましては、"日本のネットの現実"を直視され、一日も早くそのような考えに絶望されるとともに、「ただ享楽的に使うべし」と宗旨替えされますことを、心より願ってやみません。


『生存。社会化。娯楽。これが進歩だ。』(2009.06)


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