理念と多様性と
※個人の感想です
多様性を認めないといけない、といわれる時代になりました。
なんらかの属性で区別して門前払いすることは道徳に反しますし、その点では正論であるのでしょう。
他方で。
理念(Principle)、哲学(Philosophy)、信条(Credo)……表現はさまざまですが、「組織運営に通底させるべき思想」を浸透させることに、企業は多大な労力をかけます。
また、伝統的にも「一枚岩」「一致団結」というのは好まれるキーワードです。
であるならば、実際に認められうる"多様性"というのは「理念の範囲をこえない公差」、
悪くいえば「タコツボにぴったり収まる範囲の個体差」にすぎない、ともいえるでしょう。
さて、"自分ごと"として考えてみてください。
日本人──国籍ではなく、日本で生まれ育ち日本の学校教育を受けた、日本企業で働くサラリーマンというほどの意味です──が「受け容れ可能な多様性」の範囲など、たかが知れているのではないですか?
……営利企業のメンバーとして、あるいは使い使われる立場として。
均質どころか金太郎飴とさえ揶揄される今でさえ、みんなそれなりに苦労するのに。
「多様な考え方」に対して議論し、説得し、納得させて動かさねばならないとすれば、あなた方全員、現況とは比較にならないコミュニケーションストレスを抱えることになりますよ。
21世紀の日本企業に求められる「メンタルヘルス」と、それは果たして両立できるとお思いですか?
俗に「組織に新しい風を入れたい」と言いますが。
風が弱ければ、多勢に無勢、既存の組織文化に取り込まれなじんでゆくだけでしょうし、
風が強ければ、組織秩序の破壊者となって、今後も守ってゆきたかった組織文化までも吹き飛ばされるでしょう。
巷の雑誌記事が、もしくはコンサルタントが何と言おうと、「悪しき習慣だけが消えて、イノベーションが続々生まれる体質になりました!」などという都合のいい事態があなたの組織に起こり得る、というのは、確率的にまず無いと考えていいでしょうね。
※個人の見解ですよ、くどいけど
最近のコメント